TOP > 地域情報紙 > ヨコハマ想い vol.11 イラストレーター 樋口たつの氏

ヨコハマ想い


「感謝」
イラストレーター 樋口たつの氏

profile
横浜市鶴見区生まれ、金沢区育ち。現在、読売新聞夕刊の連載小説「空にみずうみ」(佐伯一麦著)の挿絵を担当。その他、書籍表紙や雑誌、スターバックスコーヒーのキャンペーンイラストなど、さまざまなジャンルで活躍している。

かわいくて味わい深い、誰からも愛される樋口さんのイラスト。
いつもどこかで目にしているような…。
そう、現在読売新聞夕刊の連載小説の挿絵を描いているのです。
今日はどんなイラストだろう?

京急っ子、金沢っ子

 鶴見区で生まれ、3歳から10年くらい前まで金沢区に住んでいました。横浜の端っこで、鎌倉や逗子に近かったため、小さい時はよく海に遊びに行きました。絵を描くことは小さいころから好きで、住んでいた団地のお絵描き教室に、幼稚園の時から通っていましたが、中学に入り、学校生活が楽しくてやめてしまいました。美術の授業は好きでしたけど。
 大学は経済学部でした。1、2年次は戸塚区にあるキャンパスに通っていました。小高い丘の上にあるのですが、細いパンプスを履いて坂をガツガツ歩いていました。テニスサークルに入り、おそろいのスタジャンを作り、練習や合宿、パーティーに参加…時代を象徴するような楽しい学生生活を送りました(笑)。

妄想が現実に…

 大学卒業後は、旅行会社に就職しました。旅が好きだったのと、飛行機に安く乗れるのかな?という理由で決めました。この職場がまた楽しくて。でも働いて3年が過ぎたころ、これでいいのだろうか?何か手に職が欲しい、と思い始めました。営業の途中、洋書屋さんに立ち寄ってアートブックを見るのが好きで、ある時、「イラストレーターとなって洋書屋さんで本を選んでいる」自分がはっきり想像できたのです。今はスーツ着て、営業バッグ持っているけど、今度は資料を集めに来るんだ!って。
 思い立ってから1年後くらいに会社を辞めて、あちこち旅をしたのち、ゼロからのスタート!と絵を描き始めました。「イラストレーターにきっとなれる」と不思議と疑いもなく思っていて(笑)、そのころ好きだった雑誌の編集部に作品を持ち込んだり、出版社の知人に紹介してもらったりしました。そのあとになって、パレットクラブスクールというイラストスクールに通ったのち、安西水丸さんの教室にも通い、イラストレーターの基本を学びました。やりたいことだったから全然大変と思いませんでしたし、実際新しい体験がすべて新鮮でした。

いい意味で裏切りたい

 エッセイや小説の挿絵では文章を読んだり、広告でも商品でも何かお題があって、自分の感性を使ってそれに応えていくのがとても面白いです。リクエストに応えつつ、満たしつつ、どこまで遊ぼうか、いい意味で裏切りたいし…一人ではできない、相手のある仕事、チームワークでやる仕事が好きですね。「横浜」がお題だったら、やっぱり港に停泊する船やカモメ、ブルーを基調に描くかな?学生時代に遊んだのも横浜、今ショッピングをするのも横浜。普段何気なく過ごしている「横浜」を描くって意外と難しいですね。

思い続ければ、願いは叶う

 新聞の挿絵がやりたいな、とずっと思っていたら、昨年叶いました。とてもうれしかったです。スターバックスコーヒーも好きで「私の絵と合うと思うなぁ…スタバの仕事がしたい!」とずっと思っていたら、本当に仕事になったり。心から「やりたい」とか「合う!」って思うと願いが届くのかもしれないですね。最近は、妄想するなら大きく思い込もう、と思っています(笑)。映画の仕事がやりたいですね。あと、好きな洋服デザイナーとコラボしたり、舞台美術にもイラストで関わったり。今年は絵本を出版したいと思っています。やりたいことがたくさんあって…人生、遅い、早いはないんじゃないか、って感じています!

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