TOP > 地域情報紙 > ヨコハマ想い vol.24 俳優・気象予報士 石原 良純氏

ヨコハマ想い


「空を見よう」
俳優・気象予報士 石原 良純氏

profile
1962年逗子市生まれ。大学在学中の1982年、叔父の石原裕次郎氏が社長の石原プロモーションに入り俳優デビュー。1997年、気象予報士試験に合格。趣味はマラソン。横浜マラソン2015にゲストランナーとしてフルマラソンに参加、3時間56分01秒の好タイムで完走。好きなものはダム、鉄道、時刻表。日本の四季、気象にだけでなく、地球の自然環境問題に取り組む。

お茶の間で、見ない日はない良純さん。
飾らないトークで私たちを楽しませ、ずば抜けた演技力で感動や驚きを与えてくれる。実に博学多識。
今日はどの引き出しから、どんな話が飛び出すだろう…。

逗子の家

  一昨年の5月に、父(石原慎太郎氏)が逗子の家を手放しました。近年は週末にセカンドハウスとして使っていて、僕も年に数回は泊まりに行っていたので、それができなくなってとても寂しい。僕は東京に住んでいる。が、「東京者」というよりは「湘南生まれ」と言う方がしっくりくる。海辺の町で教えられたことが多いから。たとえば電柱や塀の脇に砂が溜まっていて、その砂をたどれば海に着く。下駄箱を開けたらカニがいる。海は当たり前にあるものだったし、逗子には山もある。さまざまな自然が身近にあるということは、とても幸せなことだったと思います。
 僕には小学生の思い出がほとんどない。思い出と言えば、通学。逗子の家から東京の小学校まで1時間半、電車に乗って通っていました。放課後に友達と遊ぶ時間がないのがつらかった。
 電車好きになった原点は通学でした。品川駅から横須賀線に乗って家に帰るのですが、品川駅にはいろいろな電車が見られて、いつもワクワクしていた。電車が安心するのは、電車の2本のレールは、自分の住んでいる町につながっているから。

横浜でゴージャスに遊ぶ!

 逗子は田舎町で何にもなくて、子どもの頃のゴージャスなおでかけと言えば横浜元町に行くことだったかな。元町商店街では、年末に福引をやっていた。景品が賞金だった。末賞が50円で、100円、500円とある。買い物や食事でもらった福引券を兄弟で分けて、楽しかったなぁ。末賞の50円しか当たらないのだけれど。
 横浜高島屋や横浜岡田屋(現横浜モアーズ)の屋上にも遊びに連れていってもらった。金魚すくいをやったり、乗り物に乗ったり。それから横浜ドリームランド。なくなってしまったのはショックですね。大船からドリームランドまで、モノレールに乗って行った。
 大学生になると、デートでは元町に行く。子どもの頃にウロチョロしていた場所だから、何か気恥ずかしかった(笑)。

父と海

 面倒見の良い父ではなかったけれど、1年に1回くらい、二人乗りのカタマラン(双胴艇)ヨットに乗せてくれました。ものすごくスピードが出て、波しぶきが間近に迫ってきて、「大丈夫かな」なんて思いながら乗っていた時の日射しや水しぶきは忘れられません。海の男ではないけれど、海には、一生残るものを教わったかな。
 子どもに海のスバラシさを教えてあげたい。僕が舵を引いてあげなきゃいけないわけで、今、ひそかに練習しています。今年こそは子どもを乗せて海に出なきゃね。石原慎太郎・裕次郎兄弟が言った「海を見たら俺を思い出せ」じゃないけれど、そんな親子関係を築きたいな、と。
 あ、僕の場合は「横須賀線を見たら俺を思い出せ」かな(笑)。

1日1回、空を見よう

 海辺に立つと、水平線があって、その上に空がある。晴れていたのに急に暗くなって風が吹き降りてきて、ビーチパラソルがバタバタと倒れて…この雲はどこから来るのだろう、風はどこから吹いてくるのだろう、と子ども心にすごく不思議だった。そういう光景を見て育って、天気のことが気になり、気象予報士の仕事をするようになりました。
 今、私たちはテレビやスマートフォン、パソコンなどばかりを見て暮らしている。その情報は、人間の暮らしを豊かにしてくれるものではあるけれど、情報が多すぎると疲れてしまう。すると、自然を求めて海や山に行きたくなるのでしょう。でも、なかなか行けません。
 “空”は一番近い大自然。世界の中でも日本の“空”はものすごくきれいで表情豊かです。1日1回、「今日の空」を眺めて、リラックスしてください。

ページの先頭に戻る


Copyright(C) 2012 Shonan Yomiuri Shinbunsha Inc. All Right Reserved このサイト内に記載されている画像及び文章の無断転載は禁止します。著作権は湘南よみうり新聞社に帰属します。